AI-103に合格したので、勉強法と反省点をまとめる
Exam AI-103: Developing AI Apps and Agents on Azure を受験し、740点で合格しました。
受験を終えて一番強く感じたのは、AI-103は単純なAzure AIの知識試験ではなく、
「AIソリューションを実際に実装できるか」をかなり問われる試験
だったということです。
私はMicrosoft Learnのラーニングパスを一通り学習し、Practice Assessmentも3周しました。
それでも本番を受けたあと、
Practice Assessmentを3周した後は「一問一答」ではなく「一問一実装」をやるべきだった
と感じました。
この記事では、
- 受験前にどの程度の知識があったか
- 実際に行った勉強
- 生成AIをどう使ったか
- Microsoft Learnで苦戦したこと
- Practice Assessmentと本番で感じた違い
- 今から受け直すならどう勉強するか
をまとめます。
まず受験結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験 | Exam AI-103: Developing AI Apps and Agents on Azure |
| 認定 | Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate |
| 受験方式 | オンサイト |
| 試験言語 | 日本語 |
| スコア | 740点 |
| Microsoft Certification | ほぼ未取得 |
| 勉強期間 | Microsoft Learnを1〜2週間+Practice Assessment・復習 |
無事に合格できましたが、余裕のあるスコアというわけではありません。
むしろ本番を受けたことで、自分の勉強方法で足りていなかった部分もかなり見えました。
受験時点のバックグラウンド
まず、この記事を書いている人間がどの程度の状態から勉強を始めたのかを書いておきます。
| 項目 | 経験 |
|---|---|
| 現在 | ITコンサルティング会社でAIエンジニア |
| 以前 | フリーランスITエンジニア |
| エンジニア歴 | 約6年 |
| C# | 約3年 |
| Python | 約2〜3年 |
| Azure | 業務でアプリケーション構築に利用 |
| LLM | Azure OpenAIを利用したアプリ開発経験あり |
| RAG | 簡単なものは実装経験あり |
| Azure Speech | Speech to textを利用した文字起こしなどの実装経験あり |
| Agent | Microsoft Agent Frameworkをキャッチアップ中 |
| 資格 | Pythonエンジニア認定基礎試験程度 |
Azureそのものが初見だったわけではありません。
また、Azure OpenAIが企業向けに提供されてからは、LLMを使ったAIアプリケーション開発も行っていました。
一方で、Microsoft Certificationについてはほぼ持っていない状態でした。
なぜAI-103を受けたのか
理由はシンプルで、
AzureでAIアプリケーションを開発するための知識を、体系的に深めたかったから
です。
業務では必要になったサービスや機能をその都度調べながら実装することが多いため、
- RAG
- Azure OpenAI
- Azure Speech
- Microsoft Agent Framework
など個別の実装経験はあっても、Azure AI全体を体系的に勉強した経験はあまりありませんでした。
資格取得そのものというより、AI-103を学習のロードマップとして使いたかったという側面が大きいです。
勉強の全体像
私が実際に行った勉強は、次のような流れです。
flowchart TD
A[Microsoft Learn] --> B[Practice Assessment 1周目<br/>翻訳+全選択肢の解説]
B --> C[Practice Assessment 2周目<br/>翻訳のみ]
C --> D[Practice Assessment 3周目<br/>50問通し]
D --> E[AIによる弱点補強]
E --> F[本番]
Practice Assessmentについては、単純に3回解いただけではありません。
徐々にAIの補助を減らしていきました。
STEP 1:Microsoft Learnを一通りやる
最初はMicrosoft LearnのAI-103向けラーニングパスを進めました。
期間としては1〜2週間程度です。
基本的には演習も含めて一通り実施しました。
ただし、一部のWork IQ関連など、権限や環境の問題で実際に試せなかったものもあります。
この段階では、
「一通りMicrosoft Learnをやったし、あとはPractice Assessmentで仕上げればいいかな」
くらいに考えていました。
しかし、Practice Assessmentを開いて早々に問題が発生します。
STEP 2:Practice Assessmentで英語の壁にぶつかる
Practice Assessmentをやってみて最初に感じたのが、
これは無理だ……
でした。
原因は技術知識というより、英語です。
問題文を読み、
- 要件を理解する
- Azureの知識を思い出す
- 複数の選択肢を比較する
- 英文の微妙なニュアンスを判断する
という処理を同時に行う必要があります。
その結果、技術的には理解できそうな問題でも、英語を読むこと自体にかなり認知負荷を使っていました。
そこで、勉強方法を変更しました。
STEP 3:生成AIに「翻訳+解説」をさせる
Microsoftが公開している Study guide for Exam AI-103: Developing AI Apps and Agents on Azure を生成AIに参照させたうえで、Practice Assessmentについて、
- 問題文の翻訳
- 正解の理由
- 不正解の理由
- 関連する技術の説明
をしてもらいました。
ポイントは、正解だけを聞かなかったことです。
たとえば4択なら、
| 選択肢 | 確認すること |
|---|---|
| A | なぜ正しい / 間違っている? |
| B | なぜ正しい / 間違っている? |
| C | なぜ正しい / 間違っている? |
| D | なぜ正しい / 間違っている? |
まで確認します。
これを段階的に補助を減らしながら3周しました。
Practice Assessment 1周目:翻訳+全選択肢の解説
最初はかなり補助輪を付けています。
やったこと
- 10問解く
- AIに問題を翻訳してもらう
- 全選択肢を解説してもらう
- 分からない内容を調べる
- 10問分の復習問題をAIに作ってもらう
これを5セット行い、合計50問解きました。
目的は正答率を上げることではなく、
「どういう知識が問われている試験なのか」を理解すること
でした。
Practice Assessment 2周目:翻訳だけ
2周目ではAIから解説を取り上げました。
| AIに任せるもの | 利用 |
|---|---|
| 問題文の翻訳 | ✅ |
| 選択肢の解説 | ❌ |
| 回答の提示 | ❌ |
問題文だけ日本語にしてもらい、回答は自分で考えます。
そして10問ごとに、また復習問題を作ってもらいました。
Practice Assessment 3周目:50問を通しで解く
3周目では、翻訳のみを利用して50問を通して解きました。
終了後に、
「今回の50問全体から、理解が弱そうな部分を中心に復習問題を作って」
という形で総合的な復習も行いました。
生成AIを使う上で一番重要だったこと
この勉強法で一番重要だったのは、
AIを信用しすぎないこと
です。
生成AIの説明を読んでいて、
- 本当にそうなのか?
- この説明、少し怪しくないか?
- 自分が知らない分野だから正誤判断できない
と思った場合は、必ずMicrosoft公式ドキュメントを確認しました。
私の中では、次のようなルールにしていました。
flowchart TD
A[AIの回答を読む] --> B{内容に納得できるか?}
B -->|YES| C[次へ進む]
B -->|NO / 判断できない| D[Microsoft公式ドキュメントを確認]
D --> E[一次情報と照合する]
E --> F[必要ならAIと再度壁打ち]
F --> C
AIに「答えを教えてもらう」というより、
AIを相手に公式ドキュメントを読み解く
という使い方です。
個人的には、この方法がかなり良かったです。
Microsoft Learnの検索でかなり苦戦した
勉強中、技術内容とは別のところでもかなり苦戦しました。
Microsoft Learnの検索です。
最初はMicrosoft Learnを日本語表示にしていました。
しかし検索しても、
「絶対この内容のドキュメントがあるはずなのに、なぜ出てこないんだ?」
ということが何度もありました。
そこで途中から、検索するときだけ英語版に切り替えるようにしました。
最終的にこう使い分けた
| 用途 | 言語 |
|---|---|
| ドキュメント検索 | 英語 |
| 内容をざっと理解する | 日本語 |
| 技術用語を確認する | 英語 |
| 日本語訳が怪しいとき | 英語 |
| 原文のニュアンス確認 | 英語 |
理想を言えば、最初から英語版Microsoft Learnを全部読める方がいいと思います。
ただ、私はそこまで英語力がなかったので、
英語版を「理解するための本文」ではなく「理解を補助する原文」として使う
ことにしました。
日本語版だけだと困ることもある
日本語版Microsoft Learnでは、
- 本来英語で理解した方が自然な用語まで訳されている
- 日本語訳だけ読むと意味が取りにくい
- 検索時に原語を知らないと目的の情報にたどり着きにくい
ということがあります。
そのため、
「日本語ではこう書いてあるけど、原文では何て言っているんだろう?」
と英語版を見る習慣はかなり役立ちました。
英語が本当にまったく読めない場合は、場合によってはAI-103対策と並行して、Duolingoなどで英語の基礎を作るところから始めてもいいかもしれません。
3周目以降はAIに問題を作ってもらった
Practice Assessmentを3周すると、別の問題が発生します。
問題を覚えます。
flowchart LR
A[問題を見る] --> B[以前解いたことに気づく]
B --> C[答えを思い出す]
C --> D[正解する]
D --> E{本当に理解している?}
これでは、
- 知識が身についたから正解したのか
- 答えを覚えているだけなのか
分からなくなります。
そこでPractice Assessmentを3周した後は、生成AIにオリジナル問題を作ってもらいました。
一発目から良い問題が出てきたわけではありません。
難易度や形式を調整しながら、
- 自分が苦手な分野
- 覚えていない機能
- 理解が曖昧なサービス
を洗い出していきました。
そして本番へ
結果は以下でした。
740点で合格
ただし、本番を受けた瞬間、
「Practice Assessmentとだいぶ違うな……」
と感じました。
Practice Assessmentと本番で感じた違い
あくまで私個人の受験時の印象ですが、かなり違いました。
| Practice Assessment | 本番 | |
|---|---|---|
| 主な印象 | 知識確認 | 実装力確認 |
| サービス知識 | 重要 | 重要 |
| SDKの理解 | 比較的薄い | 重要 |
| 実装経験 | なくても考えやすい | ある方がかなり有利 |
| 難易度 | 比較的素直 | 高く感じた |
Practice Assessmentでは、
「この要件ならどのサービスを使う?」
という知識問題が多い印象でした。
一方、本番ではさらに一段深く、
「それを実際にどう実装する?」
というところまで理解していないと判断しづらい問題が多かったです。
このとき、
AI-103はAIソリューションの実装力を問う試験なんだ
と感じました。
試験中のMicrosoft Learnはどう使ったか
試験中もMicrosoft Learnを利用しました。
ただし、
分からない問題が出るたびにMicrosoft Learnから答えを探す
という使い方はしていません。
勉強中から、知識を大きく2種類に分けていました。
| 種類 | 方針 |
|---|---|
| 頻繁に使う・理解が必要 | 覚える |
| 細かい仕様・概要 | 必要なときに調べる |
つまり、
「これは脳の記憶容量を使うべき情報ではない」
と判断したものは、最初から完全暗記しようとしませんでした。
本番では、
- 「この機能の概要ってどうだったっけ?」
- 「念のため仕様を確認したい」
- 「自分の記憶で合っているか確認したい」
といった用途でMicrosoft Learnを使いました。
Microsoft Learnは「答えを探す場所」ではなく「外部記憶」
くらいの感覚が近いです。
一番の反省点
ここまで勉強して合格はできました。
ただ、本番を受けてから一つ、
勉強方法を間違えた
と思った部分があります。
それが、Practice Assessmentを3周した後のAI問題演習です。
私はAIに一問一答形式で問題を作ってもらっていました。
今ならやりません。
「一問一答」ではなく「一問一実装」をやる
今からAI-103を受け直すなら、
一問一実装
をやります。
生成AIに、たとえば以下を用意してもらいます。
- 架空の実装要件
- サンプルドキュメント
- JSON
- テキストデータ
- 画像
- 音声
- 入出力仕様
そして自分で考えます。
一問一実装の流れ
flowchart TD
A[① 要件を読む]
B[② 使用するAzureリソースを決める]
C[③ SDK / APIを選ぶ]
D[④ Microsoft公式ドキュメントを調べる]
E[⑤ コードを書く]
F[⑥ 実際に動かす]
G[⑦ AIにレビューさせる]
A --> B --> C --> D --> E --> F --> G
G -.改善点があれば.-> D
たとえば、
「複数のPDFからユーザーの質問に回答するアプリを作ってください」
という問題だったら、
「Azure AI Search!」
で終わらせません。
- どういうインデックスにするか
- どう取り込むか
- どのSDKを使うか
- どのクラスを使うか
- どう検索するか
- どんなレスポンスが返るか
まで実装します。
なぜ「一問一実装」なのか
本番を受けて感じた理解の段階を図にすると、こんなイメージです。
flowchart TD
A[サービス名を知っている]
B[サービスをどんな場面で使うか分かる]
C[SDK / APIの使い方が分かる]
D[要件から実装方法を判断できる]
E[実際にコードを書いて動かせる]
A --> B --> C --> D --> E
AI-103では、少なくとも私が受験したときの印象としては、上の方だけではなく下の方まで理解していることが重要でした。
一問一実装なら、
資格試験対策と実務学習を同時にできる
というメリットもあります。
これからAI-103を受けるなら
私なら次の順番で勉強します。
flowchart LR
A[Phase 1<br/>Microsoft Learn]
B[Phase 2<br/>Practice Assessment]
C[Phase 3<br/>一問一実装]
D[Phase 4<br/>Practice Assessmentで最終確認]
A --> B --> C --> D
Phase 1:Microsoft Learn
まず全体像を把握します。
この段階では完璧に覚える必要はありません。
Phase 2:Practice Assessment
知識の穴を探します。
分からないものはAIに解説させつつ、必ず公式ドキュメントでも確認します。
Phase 3:一問一実装
ここを一番重視します。
AIに実装課題を作ってもらい、
Azureリソース選定 → SDK選定 → コーディング
まで自分で行います。
Phase 4:Practice Assessmentで最終確認
最後にもう一度Practice Assessmentを解き、知識問題の穴を埋めます。
AIアプリを作ったことがないなら?
ここは少し注意が必要だと思います。
AI-103を受ける前にAIアプリケーションを一度も実装したことがないのであれば、いきなりAI-103に挑むよりも、
まず Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals (AI-901) で土台を作る
方が良いかもしれません。
私自身、AI-103に合格してから、
「Azure AI Fundamentals未所持からAI-103は、結構飛び級だったかもな……」
と思いました。
実装経験がすでにある人なら、その経験をAI-103のStudy Guideに合わせて整理していく形でも戦えると思います。
一方、Azure AI自体がほぼ初見なのであれば、基礎から積み上げた方が理解しやすいはずです。
まとめ
今回の勉強方法をまとめます。
| やったこと | 振り返り |
|---|---|
| Microsoft Learnを一通り実施 | ✅ 必要 |
| Practice Assessmentを3周 | ✅ 基礎固めには良かった |
| AIによる翻訳 | ✅ 英語の認知負荷を下げられた |
| AIによる選択肢解説 | ✅ 理解を深めるのに有効 |
| 公式ドキュメント確認 | ✅ かなり重要 |
| Microsoft Learn英語版併用 | ✅ おすすめ |
| AIによる一問一答 | △ 悪くないが本番対策として弱い |
| 一問一実装 | ⭐ 今ならこれを最重視する |
AI-103を受験して一番大きかった学びは、
「知っている」から「実装できる」に進む必要がある
ということでした。
最後に、今から受験するなら回したい学習サイクルをまとめるとこうなります。
flowchart LR
A[要件を読む]
B[Azureリソースを選ぶ]
C[公式ドキュメントを調べる]
D[SDK / APIを選ぶ]
E[コードを書く]
F[動かす]
G[振り返る]
A --> B --> C --> D --> E --> F --> G
G --> A
Practice Assessmentで高得点を取ること自体をゴールにするのではなく、このサイクルを何度も回す。
これが、AI-103対策としても、Azure AIエンジニアとしての学習としても、一番効果的なのではないかと思います。